不動産投資・アパマンローンを借りるための分析・その1

大家・投資家・ローン

~旧スルガ銀行のビジネスモデル~

テーマを「旧」スルガ銀行のビジネスモデルとしたのは、今回のコラムは、いわゆる「かぼちゃの馬車」事件より「前」のことについて、私見をまとめてみたからです。

1.かぼちゃの馬車事件

 早速、コピペで申し訳ないのですが、コトバンクに用語として登録してありましたので、参照させていただきます。

株式会社スマートデイズが運営する首都圏の女性専用シェアハウス。同社は投資向けシェアハウスとして販売し、入居者から集めた家賃を購入者に支払う仕組みであることをうたっていたが、2018年1月以降、購入者への賃借料支払いを停止。同年3月、不当な高値物件を購入させられ損害を被ったとして、購入者13人が同社と同社役員、関連会社などに計2億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。原告は首都圏在住の30~50代の会社員らで、賃借料を一度も受け取れなかった人もいるという。

https://kotobank.jp/word/%E3%81%8B%E3%81%BC%E3%81%A1%E3%82%83%E3%81%AE%E9%A6%AC%E8%BB%8A-1824120

2.優等生スルガ銀行

 当時のスルガ銀行は、金融庁長官「森信親」氏が「地銀のお手本」と絶賛しており、ついでながら信用金庫大手の西武信用金庫についても同じく「優等生」扱いでした。
 しかし、その実態は、事業の核に据えた投資用不動産向け融資において、過剰な成果主義とずさんな融資審査、具体的には、過去の入居実績や投資家の預金残高を改竄など、銀行としてはありえないできごとが連続したものです。
 結果として、上記シェアハウス「かぼちゃの馬車」への投融資において、その実態がばれてしまったというものです。

3.旧スルガ銀行のアパマンローン

 ここからは、私見です。
 旧スルガ銀行のアパマンローンは、下記を特徴として構成されていました(金利を含め期間など、記憶があいまいですが・・・)。

(1)ローン取り扱い手数料

 ローン実行時に数パーセント支払手数料が必要です。

(2)そこそこ高い期中金利

 私が見たものも2.5%~4.0%と、当時としては、そこそこ高い金利が設定されていました。

(3)返済に対するペナルティ(解約禁止期間)の設定

 最後に3~5年の間に解約(ローンの返済)をした場合には、返済手数料が必要というものです。

4.大家側のメリット

 ローンを申し込む側にもそれなりのメリットがあったように記憶しています。

(1)物件のエリア

 全国対応エリアが広い(けっこう、どこでもよかったように記憶していますが)。

(2)返事が早い

 銀行内で不動産評価もやっていると言っていたように思いますが、返事が他行・他社に比べて早い

(3)次がある

 一棟だけでなく、次(複数棟)も可能

5.優等生の理由

 ここからは、もっともっと私見になりますが、「優等生」と言われたポイントについて考えてみます。

(1)物件重視の審査

 一般的に、アパマンローンでは、特にサラリーマン大家の場合には、一棟目を借りるのに苦労します。
 しかし、旧スルガ銀行では、比較的借りやすく、大家の信用というより、物件の価値に着目した評価を重視していたと思われます。
 その背景には、仮にその大家が払えなくなった場合でも、銀行のネットワークで見つけた(または確保されている)次の投資家に売却させることで、回収可能ということがあったと思います。
 良い物件であれば、大家=債務者は誰であっても最終的な回収には問題が無いということになります。
 銀行としては、安心なわけです。
 ほぼ、アセットファイナンスなのです。

(2)ローン条件

 前日のような高い金利のローン条件だと、大家としては、金利の支払ばかりで面白くないわけです。
 そのうち、他の銀行などで借り換えしたいと思うようになります。
 しかし、当然5年以内はペナルティがありますので、できません。これを裏返せば、5年経てば、他の銀行に移ってくれる可能性があるということです。
 アパマンローンの対象物件は新しい方が当然良いわけで、5年経てば、旧スルガ銀行以外へ移ってもらえるわけです。
 また、ローン実行時に手数料ももらっているので、結局5年で他行に移ってもらえる方が、銀行の実質利回りとしても最も高くなるわけです。
 借り換えする他行側でも、5年くらいのトラックレコードがあるので、肩代わりしやすくなります。
 ここでもついでながら、他に売却するとなった場合には、旧スルガ銀行とべったりの不動産業者となる可能性が高いので、それなりの見返りがあったとも考えられます。

(3)優等生の理由

 このように、物件を5年程度の短期で回すことで、物件は古くならず、大きな収益を上げることができたと思います。
 金融庁長官がどこを優等生と思ったのかは不明ですが、「借りにくい条件の人に貸す」という点では「優等生」だったと思います。
 しかし、このモデルは、行員の過剰な成果主義、つまり、大きなノルマにより、モラルハザードを引き起こしてしまったということになります。
 私は、モラルハザードさえなければ、不動産を「短期で」「高利で」うまく回すという素晴らしいモデルだったと思っています。

鑑定士M
鑑定士M

不動産市況が右肩上がりで無くとも、大家・不動産業者・銀行ともに儲けられるのなら、素晴らしいビジネスモデルですね。

タイトルとURLをコピーしました